marron seminar 2月講師

日本メンタルヘルス協会公認カウンセラー

柿澤 一二美さん

​Vol.1 亡くなった父が残してくれた「褒めの言葉」

Profile

東京都出身。日本メンタルヘルス協会公認カウンセラーの資格を有し、自身が家庭不和の環境で育ったことや長男の反抗期などの経験から、子どもの悩みに特化したカウンセリングや講演を行っている。27歳の長女を筆頭に4人の子どもを持つ母。フジサンケイビジネスアイにて「講師のホンネ」を連載中。

柿澤さんのプロフィールの「趣味・子育て」っていうのが気になっちゃって

大峯:

はじめまして!突然ですけど、私、柿澤さんのプロフィールの「趣味・子育て」っていうのが気になっちゃって(笑)。子育ってって、趣味でできるものですか?

 

柿澤:

うちは今、27歳の長女を筆頭に3歳ずつ4人の子どもがいるんですけど…。

 

大峯:

うわっ!3歳ずつって、費用面でも大変そう(笑)!

 

柿澤:

すっごい大変(笑)!しかも、子育てだけじゃなくて、夫はかつてワシントンの日本大使館の総料理長をやっていて、虎ノ門にもお店があったんですね。でも帰国後お店を閉めなくちゃいけなくなって…。それで、「お金ないし、4人の子どももいてどうしよう…」みたいな状況になったわけです。その時に、人の優しさに触れたんですよ。例えば、隣の方がご飯に連れて行ってくれたり、子どもにおやつをくれたりとか。なんか、東京では味わえないような子育てを味わうことができて。私も、子どもたちと一緒に人に育ててもらった感じがあって。だから、すごくいい思い出で楽しかったんですよね。あとは、子どもの育つ中でいろいろ見えることがあるでしょう。例えば、私たちが子どもの頃って実際に会う人しか知らなかったけれど、今の子はネットを通じて場所に関係なく友達ができたり。知らなかったことをたくさん知ることができるので「趣味」にしているんです(笑)。

大峯:

柿澤さんって、そういう経験をしたことがあるようには見えない!なんだろう、余裕のある人オーラがあると思ったんですよ。でも、きっとそれって、いろいろ乗り越えたからこそのオーラだったんですね!ところで、柿沢さんは自分のお子さんを最初から褒めて育てたんですか?

 

柿澤:

実は最初はそうじゃなかったんですよ。うちは、父が母に対してDVをふるうような家庭で。小さい時から、自分の父親と母親の仲が良くなくて、暴力もすごくいやで。いつか父に敵討ちしたかいって思っていたんです。それで、高校を卒業したあとに協栄ジム(*)に所属してトレーニングするようになって。ある日、ちょっと遅い時間に帰宅したら、父が母に暴力をふるっていたんです。それで止めに入ったら、あっけなく父が飛んで行ってしまって。後で父が亡くなってから聞いたんですけど、そのことを父が褒めていたらしいんです。会社の社長をやっていて、家でも会社でもそれまで父に戦いに行く人がいなかったから。人から、後から聞いたことだったけど、私、すごくうれしかったんです。それで、「褒めるのは大事」だと改めて思ったんですよね。

 

*協栄ジムは、具志堅用高や渡嘉敷勝男などの世界チャンピオンも輩出した名門ボクシングジム。

 

大峯:

いつも褒めてあげたいけど、そうもできないんですよね…。

 

柿澤:

「叱るほうが先」になってしまうお母さんには、褒めることの大事さをまず伝えるようにしています。まずは「自分を褒めてますか?」って聞くと、ほとんどの人がしていない。でも、体が動いてくれて、仕事もして、家のこともしてるじゃないですか。頑張っている自分を「頑張ってるよね」って褒めてあげてほしいんです。

 

大峯:

うわー。それ、してほしい!!

柿澤:

自分で褒めるだけでも、幸せな気持ちになるから、「叱る効果」とか「伝える効果」も出てくる。まずは、自分を満たすことが子育てでも大事なんじゃないかな、と思いますね。

 

大峯:

普段褒められているほうが伸びるんですかね?調子に乗っちゃう子はどうしたらいいですか(笑)?

 

柿澤:

図に乗っちゃうのは、普段の褒めが足りてないのかもしれないです。だって、いつも褒められていたら、図に乗ることはないじゃないですか。一日に何回も褒めてますか?思っていても言わないのはダメですよ!

大峯:

ふむふむ。「ありがとう」は褒めるに入りますか?

 

柿澤:

もちろん。はいりますよ。アイコンタクトしてますか?

 

大峯:

しています、しています!

 

柿澤:

子どもの発達の段階で基本的信頼(*)というのがあるんですね。子どもは、この基本的信頼があるからこそ自律できるという考え方なんですけれど、親とのこの基本的信頼の積み上げをどうするかが大切で。もし足りていないなと思ったら、そこからやり直せばいいんです。いわゆる「育てなおし」で、時間はかかるかもしれないけれど、カウンセリングに来る方には「最初からやりませんか?」って話します。

*アメリカの心理学者エリク・エリクソンの提唱した概念。

育ててくれる親への信頼感を通し、自分がこの世に存在してもいいという肯定感を養えるというもの。

 

次回は、不登校や引きこもりのお子さんについて、カウンセラーとしての見解を伺います。お子さんとの関係に悩むお母さんたちは必見ですよ!

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