marron seminar 2月講師

東京大学大学院在学中の科学のお姉さん。

​五十嵐 美樹さん

​Vol.1 自分自身の経験が、今の活動につながった

Profile

科学のお姉さん。上智大学理工学部卒業。現在東京大学大学院在学中。全国各地でサイエンスショーや講演を行うほか、YouTubeにて「ミキラボ」を主宰。身近なものでできる科学実験を発信している。

「科学って難しいと思っていたけれど、実は私たちの身近にある」

大峯:

現在「科学のお姉さん」として活躍中ですけれど、どういうところから科学に興味を持ったんですか?

 

五十嵐:

もともと科学とか理科が得意だったわけではなくて、どちらかというと国語とかのほうが点数はよかったんです。でも、中学生のときの授業で、虹を作る実験を見たときに、「科学って難しいと思っていたけれど、実は私たちの身近にある」というのが自分の中でつながった瞬間があって。それをきっかけに、得意ではなかったけど勉強しようと思ったんですよね。そしてその経験が、科学にあまり興味ない子たちにきっかけを作るという、今の仕事につながったんじゃないかなと思います。

大峯:

こういう活動を始めてどのくらいになるんですか?

 

五十嵐:

4年目です。私は理工学部の出身なんですけれど、学部在学中に理系のミスコン「ミス理系」のアワードをいただきました。これって、このような理系女性もいるよって知っていただくことを目的とした大会で、数学と科学の点数と特技披露で順位が決まるんです。まだまだ日本では割合が少ない理系女性の存在を広めるいい機会だと思ったし、自分のやってきた研究や取り組みを伝える場にもなるな、って。それで、せっかく選んでいただいたので何とか還元できることはないかと考え始めて。

 

大峯:

じゃあ、卒業後すぐにこの活動を始めたの?

 

五十嵐:

いえいえ。卒業後はエンジニアとして勤めながら、土日に無料イベントの企画書を書いて、いろいろな科学館に送ったりしていました。

大峯:

活動は順調だった?

 

五十嵐:

土日はずっとイベントをやっていて、ミス理系で知り合った仲間とか科学の活動されている人に会いに行って「一緒にやりませんか」って声をかけたりして。でも、「子どもたちに伝える」ってことは独学で、科学を教える資格があれば取りに行ったりしていました。

 

大峯:

そういう活動をしているうちに東大に行こうと思ったんですか?

 

五十嵐:

まずは自分も学ばなくちゃ!と思って、ネットで調べて必要だと思う資格を取ったりしていました。そんな学びの中で「科学コミュニケーション」っていう言葉を知ったんです。科学コミュニケーションについて調べたら、会いたい先生たちがみんな東大にいて。メールを送って「会いたいです」って直談判しました。

 

大峯:

すごい行動力(笑)!

 

五十嵐:

もう、そうするしかなくて。何から始めていいかわからなかったので。

大峯:

科学コミュニケーションっていうのは具体的にはどんなこと?

 

五十嵐:

私の専攻は、科学教育の側面もあるんですけれど、どちらかというか科学をどう表現するかということに興味があり学んでいます。科学を自分なりにどう表現するか、社会の中で科学について問うものです。

 

大峯:

でも、興味を持ったからって、なかなか東大には入れないよね(笑)。

 

五十嵐:

教授の下で学ばせていただいているうちに、とても面白いなと思って。それで受験勉強を始めたんです。小さいときは、まさか自分が東大に入るなんて思っていなかったし、東大に入りたかったんじゃなくて、その先生たちのもとで学びたかったから頑張れたんですよね。

 

大峯:

性格的に、「こう!」と思ったら突っ走るタイプなんだね。

五十嵐:

もう、絶対それです!そして、そんな自分の性格に抗えなくて苦しむ(笑)。私、ゴールを決めた瞬間、ほかは目に入らなくなっちゃうんです。これまでいろんな人に迷惑かけてると思います。

 

大峯:

ご両親は何って言ってるの?

 

五十嵐:

両親も、美樹は昔から頑固だねっていう評価で。今、活動が継続しているから笑っていられるけど、下手したらただの頑固者で終わってたかも(笑)。あと、両親も東大入学はびっくりしてました。

 

次回は、「実は優等生ではなかった!」という、幼いころの美樹さんの姿に迫ります。乞うご期待!

 

marron seminar 2月講師

東京大学大学院在学中の科学のお姉さん。

​五十嵐 美樹さん

​Vol.2「放課後のおじいちゃんの家」が、今のベースに

Profile

科学のお姉さん。上智大学理工学部卒業。現在東京大学大学院在学中。全国各地でサイエンスショーや講演を行うほか、YouTubeにて「ミキラボ」を主宰。身近なものでできる科学実験を発信している。

大峯:

科学に興味を持ったきっかけが「虹の実験」ということですが、それ以外にも小さいころから物事を斜めから見ることってありました?

 

五十嵐:

自分の中では、ごく普通の人。でも、親が共働きで、おじいちゃんの家にいることが多くて。おじいちゃんの家では、おせんべいを食べる以外にやることがないから(笑)、炙って食べるとか工夫したり。あと、その様子を見たおじいちゃんが工作ボックスを作ってくれて、それで科学ではないけれど、手を動かしたりするようになったんです。今思えばなんてことないものだけど、それを作って人に喜んでもらうのがうれしくて。当時はそれがエンジニアリングや科学実験を行うことにつながるとは思ってなかったけど、どこにきっかけって転がっているかわからないですよね。でも、子どものときに興味を持ったものって、ずっと続くのかなっていうのは思います。

大峯:

確かに。私も目指していたものにはなってるかな~。じゃあ、美樹さんのルーツはおじいちゃんだね!

 

五十嵐:

環境を作ってくれたのは感謝ですね。それに「あれやっちゃダメ、これやっちゃダメ」もあまり言われなかったですし。

 

大峯:

でも、東大も優秀ですけど、学部の上智大学理工学部も相当じゃないですか。昔から勉強はできたんですか?

 

五十嵐:

全然。私、塾が苦手で座っていられない子どもで(笑)。「勉強はいいから何か面白いことをしに遊びに行こうよ」とか言って、先生を外に連れ出そうとするような子どもでした。私、2つ下の弟がいるんですけど、弟はすごく優秀で。大手の塾に入ってガツガツ勉強してて。だから姉なのにできないっていう劣等感の塊。大手の塾は合わなくて、で、個人塾に行ってもやる気なくて(笑)。それでも、中学受験は一応したんです。いわゆる御三家のようなすごく優秀な学校というわけではなかったんですけれど、入れたんですね。その成功体験がちょっと私を変えてくれました。中学入学と同時に、私は底辺で入学しててまわりが全員上の人だと思っていたから、その悔しさから「授業の鬼」と化して(笑)。私、受験勉強はどこから入っていいかわからかったけど、学校の授業は「ここからここまで」というのが明確だったのと、それが自分のためになるんだというのがやっと分かったから頑張れたんです。

大峯:

ひとつの成功体験が大事なんですね。そこから成績はグッと上がった?

 

五十嵐:

学年トップにあがりました。

 

大峯:

うおー。すごい!コツをつかんだんだね。ある意味チャレンジャーだったからよかったんだね。

 

五十嵐:

そうなんです。失うものが何もなかったから(笑)。

 

大峯:

3年間学年トップ?

 

五十嵐:

そうですね。オール5でした。

 

大峯:

塾も続けてた?

 

五十嵐:

もうやめていました。

 

大峯:

塾行かないでずっとトップだったんだ!

 

五十嵐:

家で学校の勉強をしていました。でも、学校の勉強はできるタイプだけど、融通はきかない、応用が利かないタイプでしたね。

大峯:

でも、今って応用だらけでしょ? 子どもたちがどんな反応するかわからないんだから。

 

五十嵐:

そうなんですよ!だから、その時は大変だったけれど基礎を若いうちにやっておいてよかった。

 

大峯:

勉強はしておくべきだね。

 

五十嵐:

それは本当にそう。選択肢を狭めないためにも、何につながるかもわからないから。

 

大峯:

中学校の後は?

 

五十嵐:

中高一貫なので、女子高でずっとそのままでしたね。先生から見たら勉強もするし宿題もやってくるし“いい子”だったと思いいます。でも、それを極めすぎて後々こじらせるんですよ(笑)

大峯:

あはは。でも、小学生のときにダメダメだった美樹さんを親御さんはどのように励ましてくれたんですか?

 

五十嵐:

その時の主観でいうと、なんで弟にばっかり時間を費やすの?という嫉妬心が強かったのかなと振り返って思います。その時は応援してもらってないと思ってたかな。親は土日野球で弟を連れていく、大手塾に通ってたから模試があれば付き添う、そしてそれに私はついていく…みたいな。だから、内心は「ママを取らないで。こっちの方が先に生まれてんのに!」って(笑)。

 

大峯:

ジェラシーだね(笑)。中学に入ってからは、お母さんから褒めてもらった?

 

五十嵐:

やればできるねって言ってもらって、承認欲求は満たしてもらってた。ママに見てほしくて、蛍光ペンで自分の成績マークしてましたもん(笑)。

 

次回は、美樹さんの今の夢、そしてローカルに寄せる思いをご紹介します。2月のセミナーが待ち遠しくなること間違いなし…ですよ!

 

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東京大学大学院在学中の科学のお姉さん。

​五十嵐 美樹さん

​Vol.3 情報格差がほぼない今だからこそ、

やりたいことはどんどんやってほしい!

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科学のお姉さん。上智大学理工学部卒業。現在東京大学大学院在学中。全国各地でサイエンスショーや講演を行うほか、YouTubeにて「ミキラボ」を主宰。身近なものでできる科学実験を発信している。

大峯:

東京だと中学受験が当たり前だと思うけど、ローカルでは中学高校も公立に行くのが当たり前の世界なんですよね。

そんなローカルの教育についてはどう思う?

 

五十嵐:

今、仕事でたくさん地方に行かせていただく中で、子どもたちに「どう環境を作るか」っていうことに興味があって。塾に通っているような志の高い子ももちろんそうですが、小学校時代の私のような子どもたちに向けてはどのような環境で科学を伝えるのが良いのか日々考え行動するようにしています

 

大峯:

きっかけさえあれば、だれもチャンスがあるってことですよね。

 

五十嵐:

今はネットもあって、情報の格差は縮まってきているのは実感します。「うちの子、Youtube見て急に実験始めちゃってどうしよう?」みたいな親御さんが私のサイエンスショーには多くて驚いているんです。そういう方々には「家にあるものでできるんですよ」って伝えています

大峯:

今の夢とか目標は?

 

五十嵐:

自分が今を何すべきかということを考えていく中で変わらないのは、理工系の分野の女性が活躍できる場をもっと作りたということ。私がいた職場は25人中女性が2人、理工学部のときの男女比も9:1。私にとっては普通だったけど、海外ではそんなことではなくて。これって日本ならではの文化が生んだものなのかな、と思うんです。現在の活動をとおして、(科学が)女の子にとって「こういうことをやってみたい」っていう選択肢のひとつになればいいな。

 

大峯:

もしかしたら理系って、少し偏ったイメージを持たれやすいのかもしれないねでも、性別や環境に関係なくやりたいことを極めていいんだもんね。じゃあ最後に、栗原の人に伝えたいことを教えてください。

五十嵐:

ここ10年くらいで「女性だからこうじゃなきゃ」とか「ここの生まれだからこうしなきゃ」とか、今まで普通とされてきたことが壊れてきているのではないかと感じています。今やネットがあって情報格差縮まっているので、そのような壁を取りはらって、自分が思う自分らしい生き方を一緒に探し続けていきましょう!と思います。

大峯:

説得力ある!2月のサイエンスショーが何かのきっかけになる子がいたらいいな。10年後、15年後に美樹さんみたいになってる子がいるかもしれないもんね。

 

五十嵐:

そうだったらいいな。

 

大峯:

そうしたら、私おばあさんになっててもまた取材に行くから!

 

五十嵐:

ぜひ(笑)!実現できるように精進します!

 

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東京大学大学院在学中の科学のお姉さん。

​五十嵐 美樹さん

​「親子で楽しめる実験ショー」セミナー報告

Profile

科学のお姉さん。上智大学理工学部卒業。現在東京大学大学院在学中。全国各地でサイエンスショーや講演を行うほか、YouTubeにて「ミキラボ」を主宰。身近なものでできる科学実験を発信している。

遊木さんの司会進行のもと、marron編集長・大峯とのトークセッションからスタートです。

 科学に興味を持ったきっかけを聞かれた美樹先生は「中学生のときに虹を作るという実験にすごく感動して。それまで苦手だった理科をちゃんと勉強しようと思ったんです」と話してくれました。

大峯が「美樹先生は、上智大学から東京大学大学院に行って、すごく優秀。昔から勉強はできたんですか?」と聞くと「全然!塾でも座っていられない子で。先生に『外に遊びに行こうよ!』って言っちゃうくらい」と話すと、会場からは笑いが起こります。そして「勉強を続けていって、つまずいたこともたくさんあります。でも、続けていたら、大好きなことが仕事になりました」と話すと、会場のお母さんたちは深くうなずいていました。

遊木さんが「いつから、こうした活動をしているのですか?」と聞くと「大学を卒業した後、大企業でエンジニアをしていて、土日に科学ショーの活動をしていました。どうやって科学を楽しく伝えられるのかを勉強したくて、専門の先生方が東京大学にいらっしゃり、東京大学に進んだんです」と、東京大学大学院への進学の理由も科学ショーの充実のためだと教えてくれました。 

さあ、ここからはいよいよショーの開始です。アップテンポな音楽に乗って美樹先生が再登場すると、会場の子どもたちも前のめり!

 最初の実験は「バターを作ろう!」。クーラーボックスから生クリームを取り出した美樹先生。「さあ、この生クリームはどうするとバターになると思う?」と聞くと「あっためるー!」「振るー!」と答えが上がります。気になる答えは…「振る!」。生クリームは振って衝撃を与えられることでタンパク質の膜が破れて脂肪同士がくっつくのです。美樹先生はペットボトルにいれた生クリームを振るため、「ちょっと踊ります!私、運動はあまりしないんですけど…」と言いつつ、Da Pumpの「U.S.A」が流れるとキレッキレのダンスを披露。会場からは手拍子と美樹先生のダンスのクオリティに歓声が起こりました。その後は子どもたちのお手伝いもありながら、バターが完成。美樹先生は「動物性47%の生クリームを使うこと、あとデコボコがたくさんあるペットボトルを使うといいですよ」と。

続いては、ドライアイスを用いた実験。お母さん世代には懐かしいBTB溶液を水に入れ、ドライアイスを入れます。「緑色のBTB溶液に、ドライアイスを入れると何色になるでしょう?」美樹先生の問いに「あか!」「きいろ!」と声があがります。「じゃあ、やってみるよー!」と、美樹先生がドライアイスを入れてみると…、鮮やかな黄色に変わりました。「ビールみたい!」と元気よく答える子どもに「そうだねー!すごい!よく見てるねー!」と答える美樹先生。BTB溶液は、入れた物質の性質で色が変わるもの。「ドライアイスは二酸化炭素でできているから、水に溶けると酸性で黄色になるんだよ」と教えてくれました。

さらに、ドライアイスにお風呂のお湯くらいの温度のお湯を入れると雲のように白い霧ができること、さらには紫キャベツを煮出した溶液に酢や重曹を入れて色を変える実験などを行い、会場からは大きな歓声と拍手が起こりました。

 次は、風船を使った実験です。膨らませた風船に何かを塗るとパーン!と割れるのですが、一体何が必要なのでしょう?その答えは「レモン汁」。レモンの皮に含まれている「リモネン」という成分がゴムを溶かすのです。実験に参加した男の子が筆でレモン時を風船に塗ってみると、パーン!と大きな音がして風船が割れました。

その後も巨大風船やビニール袋に空気を入れる実験を行います。2メートル以上あろうかというビニールに空気を入れてみよう!という実験では、どうしたら空気が入るかみんな一生懸命。顔を真っ赤にして袋に息を吹き込む子、走って空気を集める子…いろいろいる中で、袋をパンパンにした子がいました。「少し袋から顔を話して、ふーって息を吹き込んだんだ」。その子が話すと、美樹先生は「素晴らしい!」とほめてあげます。勢いのある空気の流れに周りの空気が引き寄せられるために起こる現象で、子どもたちは実験が終わったあとも空気を入れたビニール袋を手に走り回って楽しそうに遊んでいました。

最後は、家ではなかなかできない水素と酸素を使用して水を作る実験。子どもたちが手に持った透明なホースの中に水素と酸素を入れてエネルギーを加えると…パーン!と大きな音がして、ホースの中に水滴がついています。「これが水なんだよ」と美樹先生が話すと、子どもたちは興味津々でホースを眺めていました。

 楽しい実験盛りだくさんの美樹先生のサイエンスショー。「勉強が嫌い!」と言っていた子たちが目を輝かせ「楽しい」と言っていた姿が印象的でした。

伊藤瑠美さん

今日は、友人に誘われて参加しました。自分の目で見たら科学に興味を持ってもらえるかなと思ったのですが、本人も楽しそうでよかったです。

 

伊藤慧くん

実験がすごく楽しかったです。僕、勉強は嫌いだけど、今日みたいなのだったら楽しくていいなと思いました。風船にレモン汁を塗って割ったのが面白かったです。

五十嵐美樹先生

アットホームな雰囲気の中で子どもたちひとりひとりの目を見ながら実験ができて、私自身も改めて実験の楽しさを実感できました。栗原の子どもたちは、みんな積極的で元気。どんどん発言してくれるし、目がキラキラしている印象を持ちました。私は身近なものを使った実験を行っているので、今日やってみたことを家庭やお友達と一緒にやってもらえたらうれしいです。

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